Moon Over Parador

パラドールにかかる月



★★★★☆

MOON OVER PARADOR(104分)


監督: ポール・マザースキー
製作: ポール・マザースキー
脚本: ポール・マザースキー、レオン・カペタノス
撮影: ドナルド・マカルパイン
音楽: モーリス・ジャール

出演: ラウル・ジュリア・・・ロバート(大統領の側近)
リチャード・ドレイファス・・・ジャック・ノア(俳優)/アルフォンス・シムス(パラドール国大統領)
ソニア・ブラガ・・・マドンナ・メンデス
ダナ・デラニー・・・ジェニー
ポリー・ホリデイ・・・ミッチ(ジャックの友人)
マリアンネ・ゼーゲブレヒト・・・マグダ
エドワード・アズナー・・・本人
サミー・デイヴィス・Jr・・・本人


◆ストーリー◆

カリブに浮かぶ国家パラドールの独裁者アルフォンス・シムスが急死。

大統領の死が公になると国家転覆の危険性があるため、たまたまロケで訪れていた役者で大統領のそっくりさん、ジャック・ノアが偽物に仕立てられ・・・



◆感想◆

これは、どこかで見たことがあると思ったら、ケヴィン・クライン主演の「デーヴ 」とそっくりです。(でも、「パラドールにかかる月」のほうが前の映画なんだよね。)

デーヴ 」の場合は、大統領が病気で倒れ、大統領が死ぬまでの間ニセモノが大統領を演じるわけだけど、この作品は、大統領が急死して、このままでは国家が転覆する!いうことで、ニセモノを大統領に仕立て上げる。

デーヴ 」もこの作品も、最初は、操り人形にすぎないのですが、だんだんと自分の意見を主張するようになって人気者になっていくんですよね。

でも、舞台がカリブ海に浮かぶ国家(キューバのイメージ?)ということで、ノリがラテン系。

リチャード・ドレイファスの二役は、当然イイですが、あまり期待していなかったせいか、ストーリーも結構良かったです。

日本では、劇場未公開作品ということで、確かに映画館でお金を払って見るかどうかというと微妙なんですが、軽く見られる作品なので、テレビで放送されてたら、一度ご覧になってみては?!


マディソン郡の橋




★★★★★☆彡

THE BRIDGES OF MADISON COUNTY(135分)


監督: クリント・イーストウッド
製作: クリント・イーストウッド、キャスリーン・ケネディ
原作: ロバート・ジェームズ・ウォーラー
脚本: リチャード・ラグラヴェネーズ
撮影: ジャック・N・グリーン
音楽: レニー・ニーハウス

出演: クリント・イーストウッド・・・ロバート・キンケイド(カメラマン)
メリル・ストリープ・・・フランチェスカ・ジョンソン(主婦)
アニー・コーレイ・・・キャロライン・ジョンソン(フランチェスカの娘)
ヴィクター・スレザック・・・マイケル・ジョンソン(フランチェスカの息子)
ジム・ヘイニー・・・リチャード・ジョンソン(フランチェスカの夫)
サラ・キャスリン・シュミット・・・若き日のキャロライン
クリストファー・クルーン・・・若き日のマイケル
ミシェル・ベネス・・・ルーシー・レッドフィールド
カイル・イーストウッド・・・ジェイムス・リバーズ・バンド


◆ストーリー◆

1989年のアイオワ州マディソン郡。

母親の葬儀を出そうと遺品の整理をしている兄夫婦と妹。

妹のキャロラインがちょっとワケありな母親の日記等を見つける。

そこには、遺体を火葬にしてくれと書かれてあり、兄妹は戸惑う。

その日記には、1965年秋、夫のリチャードと2人の子供がイリノイ州の農産物品評会に出掛け、彼女が1人で留守番していたときに偶然道を尋ねに来たカメラマン、キンケイドとの4日間の燃えるような恋について書かれていた。


◆感想◆

こういう恋愛をしてみたいという欲望はまったくないのですが(笑)、他人事(というか映画の中のお話)だからなのか、非常によかったです。

中年男女の恋愛でありながら、何となく清々しい雰囲気があるからでしょうか。

悲恋モノってあまり好きではないのですが、ラスト(映画のラストではなく、2人が永遠に別れてしまうところ)は、泣きましたしょぼん

どしゃ降りの雨がまた切なさを増幅させるんですよね。

フランチェスカは、車の扉を開けて、キンケイドと2人で逃げ出すこともできたわけだけど、彼女は、夫と子供たちと生きることを選択した・・・

フランチェスカの子供たちは、日記を読み始めた当初、母親の不倫にいい印象は持っていなかったけど、最終的には理解して・・・ラストは、やっと一緒になれたね~っていうラストです。(夫の立場は~どうやねん!って殿方からは不満が出そうですが・・・)

この作品のC・イーストウッドは、もうすでにいい歳なんですが、ちょっと枯れた感じでありながら、少年っぽいところがとってもイイ。


中年男女の4日間の不倫のお話と言ってしまえばそれまでなんだけど、あのどしゃ降りの雨の別れから一度も会えなかった(会わなかった)っていうのがいいじゃないですか。

キンケイドのほうは、フランチェスカの家を知っているわけだし、こっそり会おうと思えば会えるわけで・・・

これで密会なんかしてしまうと、ただの不倫の話になっちゃうのかもしれませんが。

賛否両論分かれそうな作品ですね。既婚・未婚、男女等で評価が分かれそう。

とりあえず、”既婚・子なし・女性”の私は、非常に大好きな映画です。


ポニーキャニオン
バブルへGO!! タイムマシンはドラム式 スペシャル・エディション

★★★★★

監督: 馬場康夫
製作: 亀山千広
プロデューサー: 宮澤徹、種田義彦、和田倉和利
蔵本憲昭、仁科昌平
共同製作: 島本雄二、島谷能成、亀井修
エグゼクティブプロデューサー: 清水賢治、石原隆、林紀夫
原作: ホイチョイ・プロダクションズ
脚本: 君塚良一
撮影: 松島孝助
特撮監督: 尾上克郎
美術: 清水剛
編集: 奥田浩史
音楽: 本間勇輔
VFXプロデューサー: 大屋哲男
スクリプター: 津崎昭子
照明: 吉角荘介
録音: 中村淳
助監督: 足立公良

出演: 阿部寛・・・下川路 功(財務省大臣官房経済政策課)
広末涼子・・・田中真弓(フリーター)
吹石一恵・・・宮崎薫(テレビレポーター)
伊藤裕子・・・高橋裕子(下川路の秘書)
劇団ひとり・・・田島圭一(2007年・サラ金の取立て、1990年・長銀に就職が決まった大学生)
小木茂光・・・菅井拓朗(下川路の同僚)
森口博子・・・玉枝(2007年・真弓がバイトしているキャバクラのママ、1990年・芸者)
愛川ゆず季
鈴木一功
有吉弘行
山岸拓生
杉崎真宏
小野ヤスシ・・・本人
露木茂・・・本人
松山香織・・・本人
木幡美子
ラモス瑠偉 (特別出演)・・・本人
飯島愛・・・本人
八木亜希子・・・本人
飯島直子・・・本人
伊武雅刀・・・芹沢良道(2007年・芹沢ファンド代表、1990年・大蔵省金融局長(下川路の上司))
薬師丸ひろ子・・・田中真理子(真弓の母)


◆ストーリー◆

2007年、景気低迷が続く日本。

800兆円という国の借金のため、国家は崩壊寸前であった。

そんな日本を救うため、財務省大臣官房経済政策課の下川路功は、1990年にタイムスリップして、バブル崩壊を阻止しようというプロジェクトを進めていた。

しかし、タイムマシンの開発者である田中真理子が1990年3月の東京にタイムスリップしたまま行方不明になる。

母親は自殺したと聞かされ、葬儀も済ませていた真理子の娘・真弓は、下川路から真実を聞かされ、タイムマシンに乗り込み、母親の救出に向かう。



◆感想◆

これは、ストーリー云々より、バブルの時代を知ってる人は、バブル時代の思い出にふけってしまうかもしれません。

私は、バブルのころ、高校生~大学生だったので、当時は、あまりバブルを実感することもなく、恩恵を受けることもなかったのですが(でも、不利益は受けました。就職氷河期1年生です。)、バブル時代に社会人だった人たちは、きっと札束が飛び交う現場なんてしょっちゅう見てたんでしょうねぇ。

でも、今考えてみると、高校生なのに、DCブランド(懐かしい・・・)の服ガンガン買ってた記憶があります。(私も周りの友達も。)

今は、結構、お手ごろ価格のブランドもたくさんありますが、DCブランドって、ブラウス1枚1万円以上しましたから。

でも、バイトの時給って500円前後だったんですよね。


で、映画のほうですが、まず、お葬式のシーンから始まるんですよね。

真弓の母親、真理子が海に飛び込み自殺し、死体も上がって来ないという設定。

真弓は、フリーターで、男運も悪く、元彼の借金を肩代わりして払っているという悲惨な状態で、母親の葬式にも借金取りがやってきて、香典を持って行かれる始末。

そんなとき、財務省官僚の下川路という男がやってきて、母親の真理子は、実は、タイムマシンで1990年の東京に行って行方不明になってしまったということを聞かされる。

そこで、真弓がドラム式洗濯機のタイムマシンに乗って1990年に行くわけです。


そこからは、母親探しとバブル崩壊を阻止するっていうストーリーよりもバブル時代を懐かしもう!っていう色が濃いような・・・

”バブルが崩壊したのは、1990年に大蔵省から通達された総量規制の行政指導がきっかけ”なんていう難しい話も出てくるんですが、バブル時代を面白おかしく描いてるって感じです。

2007年のファッション(ローライズでお腹が見える)の真弓を見て、1990年の登場人物が会う人会う人「お腹見えてるよ。」って言うのが笑えた。

確かに、1990年ごろって、股上むっちゃ深かったもんねガーン(トラサルディとかアルマーニのジーンズ流行りましたよね~~!(←これに反応する人はたぶん同年代!))

あと、大蔵省の若手官僚だった下川路が住んでたマンションが、トレンディドラマに出てくるような部屋なんですよね。(トレンディドラマっていう言葉が懐かしい!)

1990年に行って母親を探すうちに、真弓の出生の秘密が明らかになっていくわけですが、これは、伏線があるので、すぐにわかると思います。

クライマックスの料亭のシーンは、もうむちゃくちゃでありえね~って感じなんですが、その後、真弓が2007年に帰ると、お約束通り2007年の世界が変わっていて・・・どう変わってるのかは、言えませんが得意げ

しかし、この映画みたいに、バブル崩壊がなかったら日本はどうなってたんでしょうね?(100均とかなかったかも?!)

高々15年くらい前なのに、バブルの時代って色んな意味ですごかったんですね。(当時は気付きませんでしたが。)

日本中が浮かれてたあんな時代がまた来るんだろうか?またあんなファッションが流行ったりするのかな?

景気がよくなるのはいいことだけど、もうあんなお金をばらまくような時代は来て欲しくないなって思ったりします。(お金が回らないと景気はよくならないわけですが・・・)

不景気のどん底を経験して、節約やエコが身についたわけですし、景気がよくなっても、節約やエコを心掛けながらお金使いたいと思います。(でも、実は、節約心掛けてはいるものの、苦手なんですよね~。)

とりあえず、バブル時代を知る人も知らない人も楽しめる映画ではあると思います。


ファーストトレーディング
素晴らしき哉、人生!

★★★★★

IT'S A WONDERFUL LIFE(130分)


監督: フランク・キャプラ
製作: フランク・キャプラ
原作: フィリップ・ヴァン・ドレン・スターン
脚本: フランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット
フランク・キャプラ
撮影: ジョセフ・ウォーカー、ジョセフ・バイロック
音楽: ディミトリ・ティオムキン

出演: ジェームズ・スチュワート・・・ジョージ・ベイリー
ドナ・リード・・・メアリー・ハッチ・ベイリー(ジョージの妻)
ライオネル・バリモア・・・ヘンリー・F・ポッター(資産家)
ヘンリー・トラヴァース・・・クラレンス(2級天使)
トーマス・ミッチェル・・・ビリー・ベイリー(ジョージのおじ)
ボーラ・ボンディ・・・ジョージの母
フランク・フェイレン・・・アーニー・ビショップ(ジョージの友人)
ウォード・ボンド・・・バート(ジョージの友人、警察官)
グロリア・グレアム・・・バイオレット(ジョージの友人)


◆ストーリー◆

父親から継いだ事業が失敗し、人生に絶望して橋の上から身投げしようとしているジョージ・ベイリー。

しかし、彼より先に老人が橋から身を投げ、ジョージはその老人を川へ飛び込んで助ける。

助けた老人は、自分は、2級(見習い)天使だといい、「この世に生まれてこなければよかった」と漏らすジョージに、もし自分がこの世に生まれてこなかったらどうなっていたかという仮の世界をジョージに見せる。



◆感想◆

人間誰しも、生きているといいことばっかりではなく、嫌なこともたくさんあるし、壁にぶつかったり、絶望感に襲われることもあるでしょう。

私は、のんびり生きてるので、嫌なことはたびたびあっても、まだ人生に絶望したということはないんですが、この映画の主人公ジョージは、すごく善良な人なのに、報われないというか、ツキに見放されてるというか本当に気の毒な人物なんですね。

ジョージが自殺しようと思うまでのプロセスがジョージの子ども時代から描かれていくんだけど、ほんとにツイてないんですよ。

だからといって、暗い人生を送るわけではなく、自分の人生を受け入れて人のために生きてるんだけど、最後の最後にどうしようもない不運に襲われる。

人のために人生を費やしたのに、何故、あんな不運に見舞われないといけないのか。

あまりにもかわいそうで、すごく胸が苦しくなって、死にたくなるのもわかるってほどの気持ちになります。

でも、2級(見習い)天使が現れて、自分がこの世に生まれていない世界を見せられてから、自分の存在意義というものを知り、考えを改める。

そこからが、もう感動ですよね。

自分がこの世に存在しているということについて、改めて考えさせられる作品なんだけど、『情けは人のためならず』っていうのを地でいくような作品でもあると思います。

ただ、ひとつだけ不満を言わせてもらうなら、ジョージを絶望に陥れた悪徳資産家がひどい目に遭わないこと。

まあ、それがいいという人もいるのかもしれませんが、私は、勧善懲悪の作品のほうが好きなので、悪人(悪役)が何の懲らしめも受けずに終わるっていうのが、ちょっと腑に落ちない感じがしましたが。


非常にいい映画で、名作と言われるのもわかりますが、人生に絶望感を抱いてる人が見て、果たして立ち直れるかどうかっていうのは私には何とも言えません。

この映画を観て、「よし、頑張って生きて行こう!」って勇気付けられる人もいると思いますが、この映画の主人公のジョージのように、自分は、人に親切にしてないし、人から必要とされてないし・・・って思う人もいると思います。

私は、人生に絶望感は抱いていませんが、どちらかといえば、後者のほうです。

でも、この作品を観て、単純にとても感動したし、この作品の主人公のジョージのような立派な人生は歩めないかもしれないけど、自分らしい人生を歩んでいけたらいいなって改めて思えるような作品でした。


アメリカでは、クリスマス時期にこの映画がよく見られているらしい。(ラストがクリスマスということもあると思いますが。)

500円DVDも発売されているので(私も500円DVDを買いました。)、人生に絶望感を抱いている人もそうでない人もぜひご覧ください。




Dearフランキー



★★★★★

DEAR FRANKIE(102分)


監督: ショーナ・オーバック
製作: キャロライン・ウッド
脚本: アンドレア・ギブ
撮影: ショーナ・オーバック
プロダクションデザイン: ジェニファー・カーンキ
音楽: アレックス・ヘッフェス
衣裳デザイン: キャロル・K・ミラー

出演: エミリー・モーティマー・・・リジー(母親)
ジャック・マケルホーン・・・フランキー(息子)
メアリー・リガンズ・・・ネル(リジーの母)
ジェラルド・バトラー・・・ストレンジャー
シャロン・スモール・・・マリー(リジーの友人)
ショーン・ブラウン・・・リッキー(フランキーのクラスメイト)
ジェイド・ジョンソン・・・カトリオーナ
カティ・マーフィ・・・マッケンジー先生
アン・マリー・ティモニー・・・ジャネット(デイビーの姉)
ジョン・カゼック・・・アリー(マリーの恋人)
カル・マカニンク・・・デイビー(リジーの元夫・フランキーの実父)


◆ストーリー◆

リジーは、夫の暴力に耐えかね、母と幼い息子フランキーを連れ、スコットランド中を転々としながら暮らしていた。

夫の暴力が原因で耳が聞こえなくなったフランキーであったが、そんな事情も知らずにまだ見ぬ父へ手紙を書き続けていた。

母親のリジーは、フランキーに『アクラ号という船に乗って世界中を航海しているので会えない』と説明し、リジーが父親になりすまして息子フランキー宛の手紙を書き続けていた。

そんなある日、本当にアクラ号という船がフランキーたちの住む港町に寄港することに。

父親に会えると喜ぶフランキー。

リジーは、悩んだ挙句、寄港中、フランキーの父親役を演じてくれる男性を探し、友人のマリーに紹介してもらった男を父親役として雇うことに・・・



◆感想◆

心温まるいい話だね~ドキドキっていうのが見終わったあとの素直な感想。


耳が不自由な9歳の男の子フランキーは、まだ会ったことのない父親に手紙を書き続けているわけです。

そのあて先は、私書箱で、フランキーが父親宛に書いた手紙を母親が私書箱まで取りに行き、母親が父親に成りすまして返事を書いているんです。

父親は、”アクラ号”という船に乗って世界中を周っていると聞かされているんですが、その”アクラ号”がフランキーの住んでる港町にやってくることになって、母親のリジーは悩んだ挙句、父親役を雇うことにする。

この父親役がジェラルド・バトラーなんですが、ジェラルド・バトラーって「オペラ座の怪人」とか「300」のイメージしかないもんで、こんな役もしていたとは意外です。

このジェラルド・バトラーが演じる役、役名がないので(ストレンジャー=strangerなので)、何と呼べばいいのか困ってしまいますが、父親役の男orニセモノのパパとでも呼びましょうか。

フランキーの母親リジーは、父親役の男とは、ビジネスと割り切っていて、フランキーと一緒にいるときは、夫婦を演じているけど、それ以外のときは、結構警戒心むき出しというか・・・逆に父親役の男のほうも、どちらかといえば、報酬の前払いを請求したりするヤな男系なんですよね。

でも、父親役の男は、フランキーと接するうちに、母親は、フランキーと遊んでいる父親役の男の姿を見ているうちに、だんだんと心を許してくるんです。

もしかして、リジーと父親役の男が恋に落ちちゃったりなんかして?!って思わせておいて、ニセモノのパパは、母子の元を去って行く。


フランキーの本物の父親が途中、出てくるんだけど、本物の父親に会わせなかったのもいい。

実父は、病に臥していて、余命いくばくかの寝たきりの状態なのに、相変わらず暴力的で、息子に会わせろとうるさいんですよね。

実父の姉も何とか会わせてやって欲しいと懇願するんだけど、母親のリジーは、頑なに拒否。

もう死ぬんだから会わせてやっても・・・っていう気持ちになりそうなところなんですが、いよいよ死ぬっていうときのリジーの対応は、最善の方法だったと思う。

そして、父の死をフランキーに知らせるんですが、当然、フランキーは、死んだ父というのは、先日会った父親役の男だと思ってるわけで・・・

でも、リジーにとっては、父親に成りすまして手紙を書く必要もなくなるので、実父の死のおかげで息子との文通に終止符が打たれると思っていたのですが、ラスト、心温まるどんでん返しがあるんです。(どんでん返しってほど大層なものではないか。)

子どもって大人のことしっかり見てるのね~。みたいな。

でも、そのおかげで、また、リジーとフランキー、そして、ニセモノのパパがまた会えそうな気がする、そんなラストシーンでした。

とにかく、温かくて、ほっこりとした気分になれる作品。





ポニーキャニオン

ハイジ


★★★★★

HEIDI(104分)


監督: ポール・マーカス
製作: クリストファー・フィッグ、マーティン・オーティ
原作: ヨハンナ・スピリ
脚本: ブライアン・フィンチ
撮影: ピーター・シンクレア
音楽: ジョスリン・プーク

出演: エマ・ボルジャー・・・ハイジ
マックス・フォン・シドー・・・おじいさん
ジェラルディン・チャップリン・・・ロッテンマイヤー夫人
ダイアナ・リグ・・・ゼーゼマン夫人
ポーリン・マクリン・・・デーテ叔母さん
ジェシカ・クラリッジ・・・クララ
サム・フレンド・・・ペーター


◆ストーリー◆

幼い頃に両親を亡くしたハイジ。

デーテ叔母さんに引き取られたハイジだったが、やがて、叔母さんの都合で父方の祖父に預けられる。

おじいさんはアルプスの山奥にたった一人で暮らしている頑固者。

おじいさんとハイジは、徐々に心を通わせていき、ハイジもアルプスの暮らしを楽しんでいたが、デーテおばさんがハイジを引き取りにやってきて・・・



◆感想◆

子どものころに観たアニメで何が一番好きかって聞かれると、迷わず「アルプスの少女 ハイジ」って答えます。

ヨハンナ・スピリの原作も図書室で借りて読みました。

「フランダースの犬」みたいな、子どもと犬がかわいそうな目に遭う物語は苦手です。

あんな悲しい最期ってアリ?!(まあ、そんな悲しいストーリーの物語を読んだり観たりしながら、子どもは大きくなるんだろうけど・・・)

その点、「アルプスの少女 ハイジ」は、明るくていい!


日本のアニメのハイジのイメージが強いので、若干、登場人物がアニメのイメージと違うところがありますが、映画の「ハイジ」は、当然映像なので、アルプスの大自然や、フランクフルトの街並みなどがリアルに楽しめて良いです。(まさか、あれってセットじゃないよね?!フランクフルトはセットかしら?!)

でも、何かが違う・・・物足りない・・・って思ったら、そうだ!ヨーゼフがいない!!

そう、あの、かたつむりが大好物のセントバーナードのヨーゼフがいないんです。

ヨーゼフは、日本のアニメのオリジナルキャラクターだそうですね。


でも、日本のアニメのハイジとペーターに比べると、この映画のハイジとペーターは少しおとなしめというか、都会っぽい感じがしないでもない。もうちょっとやんちゃなイメージがあったんで。

でも、ロッテンマイヤーさん(ジェラルディン・チャップリン)は、アニメのイメージそのまんま!

世界的にロッテンマイヤーさんってあ~いうイメージなんだ~~。

あと、心優しいセバスチャンもアニメのイメージそのまんまでした。

ストーリー(というか描き方)がアニメと違うと思ったのが、クララが立ったところ。

何か、あっさりと立ったなぁ~っていう印象です。

あと、こんなエピソード、アニメにあったっけ??って思ったのが、ラストのほうの、クララの主治医とおじいさんのエピソード。(ネタバレになるので、あまり詳しくは書けませんが・・・)

おじいさんの健康のこととか、もし、おじいさんが死んでしまったら・・・というような現実的な問題を連想させるようなセリフもあったりして・・・

あと、途中で、「おじいさんは人殺し」みたいなデーテおばさんの台詞があるんだけど、アニメのハイジってそんなにストレートにおじいさんの過去がわかるようなシーンとか台詞とかあったっけ??

でも、子どものころにはわからなかった人間模様とかが見えてくる作品でした。


文部科学省お墨付きの作品なので、親子で家族で楽しめるんじゃないかと思います。



ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
デリカテッセン (ユニバーサル・セレクション第3弾) 【初回生産限定】

★★★★☆

DELICATESSEN(100分)


監督: ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
製作: クローディー・オサール
脚本: ジャン=ピエール・ジュネ、マルク・キャロ
ジル・アドリアン
撮影: ダリウス・コンジ
音楽: カルロス・ダレッシオ

出演: ドミニク・ピノン・・・ルイゾン
マリー=ロール・ドゥーニャ・・・ジュリー(肉屋の娘)
ジャン=クロード・ドレフュス・・・肉屋の主人クラペット
カリン・ヴィアール・・・クラペットの愛人
ティッキー・オルガド・・・マルセル・タピオカ住人
アン=マリー・ピサニ・・・マルセルの妻
エディス・カー・・・おばあさん
チック・オルテガ・・・郵便屋


◆ストーリー◆

核戦争が終わって15年後のパリ。荒廃したパリの街のとあるデリカテッセン(精肉店)に職を求めてルイゾンがやってきた。

ルイゾンは、このデリカテッセンで働くことになるが、この店の店主は、求人を見てやってきた人物を肉にしてしまうという恐ろしい男だった。

その店主の娘ジュリーは、ルイゾンを気に入り、何とかルイゾンを助けたいと救出作戦に乗り出す。



◆感想◆

核戦争が終わって15年後のパリという設定なのに、街並みが古いんですよね。

核戦争といえば、未来の出来事だと思い込んでるんだけど、今よりも昔の話でしょうか?

それとも、今よりも未来なんだけど、核戦争で荒廃して昔に戻ってしまったということでしょうか?!

とにかく奇想天外。テリー・ギリアムみたいな感じ。

求人に応募してきた男を肉にして食べてしまうっていうのだけ聞くと、オカルトちっくな感じなんですが、ほとんとコメディです。

人肉になるカモを待ち構えているのは、肉屋のオヤジだけではなく、肉屋の上のアパートの住民たちもみんな肉食主義で、新しく入ってきたルイゾンの肉を今か今かと待ち構えているんです。

でも、肉屋のオヤジの娘は、気立てがよくて優しいルイゾンに好意を寄せて、何とか助けたいと思い、あれこれ作戦を練るんですよね。

浴槽の水を溢れさせて、アパートを水地獄にしてみるが、オヤジは、一瞬怯むものの、懲りない!

その後、地底人が出てくるわ、オヤジはだんだんエスカレートしてくるわでもうメチャクチャ!


新年一発目に見るには少々きっつい作品でしたが、ムチャクチャやな~叫びってツッコミ入れながら見るのには最適の作品かと思います。





ドリームエッグス
CHARLES CHAPLIN COMEDY FILMS-SPECIAL BOX-
★★★☆☆

監督: ヘンリー・レアマン

脚本: リード・ヒュースティス

製作: マック・セネット
 
出演: チャールズ・チャップリン
フォード・スターリング・・・アゴヒゲの男
チェスター・コンクリン・・・巡査

エマ・ベル・クリフトン・・・美女

サディ・ランプ・・・警官の女友達


◆ストーリー◆

ロサンゼルス市内。夕立が上がったある日、巡査がとある家で雨宿り。

その家の娘と巡査が仲良くなり、話し込んでいる。

すると、アゴヒゲをたくわえた男がやってきて、自分のボロ傘の代わりに巡査の立派な傘を失敬する。

しかし、この傘が原因で、チャーリーと巡査、アゴヒゲ男と美女も加わって大騒動となる。



◆感想◆

その日の思いつきで撮った作品らしい。

スタジオじゃなくて、本当にロス市内で撮影したそうなので、本物の雨上がりだったのかも。


この作品のキーアイテムは傘。

最初は、アゴヒゲの男が警官の立派な傘を盗むんだけど、それが回り回って、チャーリーの手元にやってきて、美女に渡り、傘の取り合いになって、結局、警官に捕まったのは・・・

その間に水浸しになった街を立ち往生しているお嬢さんをチャーリーとアゴヒゲ男が何とか道の向こうに渡してあげようとライバル心むき出しにして競い合うシーンなんかもあるんですが、結局最後は、当時お決まりの追いかけっこで終わるって感じですね。

思いつきで撮ったっていうのが納得の作品。



ドリームエッグス
CHARLES CHAPLIN COMEDY FILMS-SPECIAL BOX-
★★★★☆

THE BANK(19分)


監督: チャールズ・チャップリン

脚本: チャールズ・チャップリン

製作: ジェス・ロビンス
 
出演: チャールズ・チャップリン・・・清掃係
エドナ・パーヴィアンス・・・秘書
カール・ストックデール・・・出納係

ビリー・アームストロング・・・掃除係

ジョン・ランド・・・債券セールスマン

チャールズ・インスレー・・・銀行の支店長

レオ・ホワイト・・・銀行員

フレッド・グッドウィンズ・・・ハゲ頭の出納係/銀行強盗

ロイド・ベーコン・・・銀行強盗

フランク・コールマン・・・銀行強盗

パディ・マクガイヤー・・・白いコートの出納係

ウェズレー・ラッグルズ・・・銀行の顧客

キャリー・クラークワード・・・銀行の顧客


◆ストーリー◆

チャーリーは大銀行の清掃係。

秘書のエドナが出納係のチャールズにプレゼントしようとしたネクタイをてっきり自分へのプレゼントだと勘違いをして・・・



◆感想◆

チャーリーは、大銀行にご出勤。

掃除係の脇を悠々とした態度で歩いて、階段を降り、大きな金庫の前にやってくる。

チャーリーは、慣れた手つきで金庫の鍵を左右へ回し、金庫を開け、中に入ってステッキを扉の裏にひっかける。・・・ここまで観ると、当然、大銀行のエリート行員だと思いますよね。

でも、そこから、ユニフォームに着替え、バケツとモップを持って、実は、清掃係だった・・・っていうオチなんだけど、タイトルが「チャップリンの清掃係」じゃ、最初からチャップリンが清掃係っていうのがバレバレですよね?

原題は「銀行」なんですが、何で原題のままorもうちょっと気の利いたタイトルにしなかったのか?


チャーリーは、美人秘書のエドナが用意していたプレゼントに「チャーリーへ」って書いてたもんだから、自分へのプレゼントだと思い込む。

チャーリーもエドナの机の上にそっとバラの花と手紙を置くんだけど、実は、エドナのプレゼントは、出納係のチャーリーへのプレゼントで・・・

チャップリンの作品は、結構、憧れの女性が振り向いてくれるっていうのも多いですが、この作品は、”哀れチャーリーしょぼん”っていう感じですね。



パラマウント・ホーム・エンタテインメント・ジャパン
トレジャー・ハンターズ/進め!笑撃冒険王
★★★★☆

WITHOUT A PADDLE


監督: スティーヴン・ブリル
製作: ドナルド・デ・ライン
製作総指揮: アンドリュー・ハース、ウェンディ・ジャフェット
リチャード・ヴェイン
原案: フレッド・ウルフ、ハリス・ゴールドバーグ
トム・ナーゾール
脚本: ジェイ・レゲット、ミッチ・ラウズ
撮影: ジョナサン・ブラウン
プロダクションデザイン: ペリー・アンデリン・ブレイク
衣装デザイン: ナイラ・ディクソン
編集: デブラ・ニール=フィッシャー
ペック・プライアー
音楽: クリストフ・ベック

出演: セス・グリーン・・・ダン
マシュー・リラード・・・ジェリー
ダックス・シェパード・・・トム
バート・レイノルズ・・・デル
イーサン・サプリー・・・エルウッド(悪党)
エイブラハム・ベンルービ・・・デニス(悪党)
レイチェル・ブランチャード・・・フラワー(木の上に住んでる美女)
クリスティーナ・ムーア・・・バタフライ(木の上に住んでる美女)
レイ・ベイカー・・・シェリフ
ボニー・サマーヴィル・・・デニーズ(ジェリーの恋人)
スーザン・ブラディ・・・レスリー


◆ストーリー◆

30歳のダン、ジェリー、トムの幼馴染3人組は、親友ビリーの葬儀で再会。

彼らは、ビリーの遺した宝の地図を見つけ、宝探しの旅に出る。

3人は童心に返って旅を続けるが、さまざまな困難やトラブルが発生し・・・


◆感想◆

死んだ親友の葬儀で幼馴染が久しぶりに再会し・・・っていうよくありがちな設定で、ヒューマンドラマなら、思い出話に花が咲いて、当時の確執だとか誤解が解けていくっていうストーリーにもなるんだろうが、これは、はっきり言ってオバカ映画。

3人の男たちはいたって真剣なんだけど、真剣になればなるほどドツボにはまっていくというか・・・

クマのシーンは爆笑。(あのクマ、本物らしい。(「ドクタードリトル2」に出てたクマだそうです。))

あと、マトリックスのように弾丸を避けるシーンとか、色んな映画のパロディも盛り込まれています。(この映画自体も「脱出」を下敷きにしているとか。だから、バート・レイノルズ出てるのか?)


いい歳したオトナの男が子供みたいにバカなことやってる映画って大好きです。