ファーストトレーディング
素晴らしき哉、人生!

★★★★★

IT'S A WONDERFUL LIFE(130分)


監督: フランク・キャプラ
製作: フランク・キャプラ
原作: フィリップ・ヴァン・ドレン・スターン
脚本: フランセス・グッドリッチ、アルバート・ハケット
フランク・キャプラ
撮影: ジョセフ・ウォーカー、ジョセフ・バイロック
音楽: ディミトリ・ティオムキン

出演: ジェームズ・スチュワート・・・ジョージ・ベイリー
ドナ・リード・・・メアリー・ハッチ・ベイリー(ジョージの妻)
ライオネル・バリモア・・・ヘンリー・F・ポッター(資産家)
ヘンリー・トラヴァース・・・クラレンス(2級天使)
トーマス・ミッチェル・・・ビリー・ベイリー(ジョージのおじ)
ボーラ・ボンディ・・・ジョージの母
フランク・フェイレン・・・アーニー・ビショップ(ジョージの友人)
ウォード・ボンド・・・バート(ジョージの友人、警察官)
グロリア・グレアム・・・バイオレット(ジョージの友人)


◆ストーリー◆

父親から継いだ事業が失敗し、人生に絶望して橋の上から身投げしようとしているジョージ・ベイリー。

しかし、彼より先に老人が橋から身を投げ、ジョージはその老人を川へ飛び込んで助ける。

助けた老人は、自分は、2級(見習い)天使だといい、「この世に生まれてこなければよかった」と漏らすジョージに、もし自分がこの世に生まれてこなかったらどうなっていたかという仮の世界をジョージに見せる。



◆感想◆

人間誰しも、生きているといいことばっかりではなく、嫌なこともたくさんあるし、壁にぶつかったり、絶望感に襲われることもあるでしょう。

私は、のんびり生きてるので、嫌なことはたびたびあっても、まだ人生に絶望したということはないんですが、この映画の主人公ジョージは、すごく善良な人なのに、報われないというか、ツキに見放されてるというか本当に気の毒な人物なんですね。

ジョージが自殺しようと思うまでのプロセスがジョージの子ども時代から描かれていくんだけど、ほんとにツイてないんですよ。

だからといって、暗い人生を送るわけではなく、自分の人生を受け入れて人のために生きてるんだけど、最後の最後にどうしようもない不運に襲われる。

人のために人生を費やしたのに、何故、あんな不運に見舞われないといけないのか。

あまりにもかわいそうで、すごく胸が苦しくなって、死にたくなるのもわかるってほどの気持ちになります。

でも、2級(見習い)天使が現れて、自分がこの世に生まれていない世界を見せられてから、自分の存在意義というものを知り、考えを改める。

そこからが、もう感動ですよね。

自分がこの世に存在しているということについて、改めて考えさせられる作品なんだけど、『情けは人のためならず』っていうのを地でいくような作品でもあると思います。

ただ、ひとつだけ不満を言わせてもらうなら、ジョージを絶望に陥れた悪徳資産家がひどい目に遭わないこと。

まあ、それがいいという人もいるのかもしれませんが、私は、勧善懲悪の作品のほうが好きなので、悪人(悪役)が何の懲らしめも受けずに終わるっていうのが、ちょっと腑に落ちない感じがしましたが。


非常にいい映画で、名作と言われるのもわかりますが、人生に絶望感を抱いてる人が見て、果たして立ち直れるかどうかっていうのは私には何とも言えません。

この映画を観て、「よし、頑張って生きて行こう!」って勇気付けられる人もいると思いますが、この映画の主人公のジョージのように、自分は、人に親切にしてないし、人から必要とされてないし・・・って思う人もいると思います。

私は、人生に絶望感は抱いていませんが、どちらかといえば、後者のほうです。

でも、この作品を観て、単純にとても感動したし、この作品の主人公のジョージのような立派な人生は歩めないかもしれないけど、自分らしい人生を歩んでいけたらいいなって改めて思えるような作品でした。


アメリカでは、クリスマス時期にこの映画がよく見られているらしい。(ラストがクリスマスということもあると思いますが。)

500円DVDも発売されているので(私も500円DVDを買いました。)、人生に絶望感を抱いている人もそうでない人もぜひご覧ください。