今年ももう半分を過ぎましたが、今年に入って一発目のフジテレビ月9ドラマって何だったか覚えてますか?

私は、主題歌(GReeeeNの「刹那」)を聴いたら思い出します。

瑛太、生田斗真、石原さとみなど豪華キャストが出演した「ヴォイス~命なき者の声~」でしたよね。

矢田亜希子さんが、出産後、2006年以来の女優復帰ということでも話題になった作品です。

瑛太、生田斗真、石原さとみ、遠藤雄弥、佐藤智仁の5人が演じるのは、失われた命のメッセージを感じ取り、伝える法医学生。

法医学っていうのは、亡くなった人を解剖して死因を詳しく調べる学問でしょ?くらいにしか感じてなかったんですが、このドラマを見て、亡くなった人のメッセージを伝える大切な仕事なんだなって改めて思いました。

患者の病気やケガを治すのだけが医者じゃないんですね。


で、その、「ヴォイス~命なき者の声~」のDVDが-BOXが7月1日に発売されました。

DVDは、本編DISC6枚(538分)+特典映像DISC1枚(144分)+スペシャルブックレット(封入特典)で、特典映像には、未公開映像やオリジナル座談会、2009年2月23日にスーパーニュースでOAされた「実録ヴォイス瑛太が見た法医学」などが収録されています。

DVDを買う目的って、好きなドラマを好きな時に何度でも見たいっていうのもありますが、特典映像が見たいってこともありますよね。

出演している役者さんのファンの方は、必見のDVDだと思いますが(っていうかもう買って見てるよね。)、私は、特に誰のファンってことはないのですが、ストーリーがとても興味深かったので、ぜひ、もう一度見たいですね。





VAP independent(VAP)(D)
陰日向に咲く、9つの花~勝てない僕らが咲けるまで~
★★★★★

(129分)


監督: 平川雄一朗
製作: 島谷能成、小杉善信、見城徹
藤島ジュリーK.、西垣慎一郎、磯野久美子
古屋文明、安永義郎
プロデューサー: 樋口優香
エグゼクティブプロデューサー: 市川南、奥田誠治
塚田泰浩
協力プロデューサー: 神蔵克、小玉圭太
原藤一輝
企画・プロデュース: 川村元気、佐藤貴博
原作: 劇団ひとり 『陰日向に咲く』(幻冬舎刊)
脚本: 金子ありさ
撮影: 中山光一
美術: 磯田典宏
編集: 今井剛
音楽: 澤野弘之
音楽プロデューサー: 北原京子
主題歌: ケツメイシ 『出会いのかけら』
VFXスーパーバイザー: 小坂一順
スクリプター: 鈴木一美
ラインプロデューサー: 鈴木嘉弘
照明: 中須岳士
装飾: 松本良二
録音: 深田晃
助監督: 井上雄介

出演: 岡田准一…シンヤ
宮崎あおい…寿子(弁護士)・鳴子(寿子の母、二役)
伊藤淳史…雷太(漫才師)
平山あや…みゃーこ(アキバ系アイドル)
緒川たまき…ジュピター(ストリッパー)
塚本高史…ゆうすけ(みゃーこのファン)
西田敏行…モーゼ(ホームレス)
三浦友和…リュウタロウ(シンヤの父)


◆ストーリー◆

台風が接近中の東京。

ギャンブルから足が洗えず、借金まみれの末に、ついにオレオレ詐欺に手を染める観光バスの運転手、シンヤ。

若かりし頃に売れない芸人・雷太に恋した母・鳴子の恋の軌跡を辿る女性、寿子。

25歳の崖っぷちアイドル"みゃーこ"と、彼女を一途に応援するアキバ系アイドルオタクのゆうすけ。

大ボラ吹きのカリスマ・ホームレス“モーゼ”に心酔し、人生を投げ出しダンボール生活を始めたエリートサラリーマン、リュウタロウ。

一見、無関係な彼らの人生が、台風の接近と共に不思議な縁に導かれるように次第に交錯していく…。



◆感想◆

珍しく夫と観たい映画が一致したため、2人で映画館で鑑賞。

夫は、原作を読みましたが、私は読まずに見ました。


これは、いくつかのエピソードが同時に進行するって感じなんだけど、原作を読んでなくても大体展開は予想できました。

まったく繋がりのない登場人物が少しずつ一本の線で繋がっていく…みたいな。

一応、メインのストーリーは、バスの運転手シンヤの話なんだけど、このシンヤは、お金にルーズで、ギャンブルが止められない、典型的なダメ人間なんです。

他の登場人物もみんな、負け組とまでは言わないまでも、どうもパッとしない人たち(悩みを抱えている人たち)ばかりなんですよね。

そんなパッとしない人たちが、彼らなりに、悩み、考え、解決策を見つけていきます。(また、過去が明らかになっていく。)

大事件が起こるわけでもなく、スカッとするようなサクセスストーリーでもないのですが、みんな何かしら悩みを抱えて頑張ってるんだ~って思うと、何か、観終わったあとに、心がほっこりとするというか、すがすがしい気分になれる映画なんですよね。




James Stewart, Paulette Goddard [DVD] [Import]



★★★★☆

POT O' GOLD
THE GOLDEN HOUR(86分)


監督: ジョージ・マーシャル
製作: ジェームズ・ルーズヴェルト
原案: アンドリュー・ベニソン、モンティ・ブライス、ハリー・テュージェンド
脚本: ウォルター・デレオン
撮影: ハル・モーア、ハリー・ジャクソン
出演: ジェームズ・スチュワート…ジミー
ポーレット・ゴダード…モリー(下宿屋の娘)
ホレイス・ヘイト…ホレイス・ヘイト(ジャズバンド)
チャールズ・ウィニンガー…チャールズ(ジミーの叔父)
メアリー・ゴードン…モリーの母
フランク・メルトン…ジャスパー
ジェド・プラウティ…ローダーマン


◆ストーリー◆

亡き父の後を継ぎ楽器店を経営しているジミー。

しかし経営は悪化する上に、叔父のチャーリーから、自分の仕事を継ぐように言われる。

ある日叔父を訪ねに行ったジミーは、ジャズバンド一家が下宿している下宿屋の娘モリーとひょんなことから出会い、好感を持つが、自分の叔父と彼女の一家が敵対関係にあることを知る。



◆感想◆

この映画のネックになっているのは、「音楽」。

当時、大人気だったという「ホレイス・ヘイト・バンド」が出演している。

この映画の解説には、対立する家の男女が惹かれあうというまるで「ロミオとジュリエット」のような…と書かれていることがありますが、私はどちらかというと、主人公のジミーが「ご近所トラブル」に巻き込まれたって感じだと思います。

音楽が大嫌いなジミーの叔父と「ホレイス・ヘイト・バンド」が下宿している下宿屋がすぐそばにあり、楽器の音がうるさいとご近所トラブルが絶えないわけです。

そこに、叔父の会社を継ぐ決心をした音楽好きのジミーがやってきて、下宿屋の娘モリーに恋心を抱き、音楽大嫌いの叔父と音楽大好き一家の娘の板挟み状態になったジミーが奮闘するわけなんですね。(ちなみに、モリー役のポーレット・ゴダートは、チャップリンの4度目の妻)

タイトルにも入っている「ラジオ」は、この時代、最新のメディアだったらしく、最後のオチは、音楽大嫌いの叔父の会社がスポンサーをしている番組内なんですよね。(原題は、ラジオの番組内のコーナー名?)


ストーリー的には、かなり強引な部分もありますが、古き良き時代のアメリカって感じの楽しい作品です。





Happyになれる映画を観よう♪-パパ


★★★☆☆

BAWKE(15分)


監督: Hisham Zaman (ヒシャム・ザマン)
製作: Gudny Hummelvoll Andersen
製作総指揮: Hakon Overas,Turid Oversveen
脚本: Hisham Zaman(ヒシャム・ザマン)
撮影: Marius Matzow Gulbrandsen
音楽: Oistein Boassen

出演: Sedar Ahmad Saleh・・・父
Broa Ako Rasol・・・息子

Hakon Hatlen・・・警官

Havard Jenssen・・・警官

Kemal Mohammed Kadir・・・通訳

◆ストーリー◆
父と子はもう長いこと逃亡を続けている。目的地を目の前にして、彼らは新たな問題にぶつかってしまう。

父は息子の未来がかかった苦渋の選択を迫られることになる。



◆感想◆

15分ほどのショートムービーですが、中身は濃い。

平和な日本では、きっとあり得ないシチュエーションだとは思うんですが、父親が苦渋の決断をするシーンは、子供のいる人はもちろん、子供のいない私でも胸を打たれました。

私がこの父親と同じ立場に立ったら、きっと同じような行動をするだろうと頭の中では思っていても、リアルにそういうシチュエーションになると、一体どうしただろうか?

自分の命を犠牲にしてでも子供を守るのが親だと思うのですが、この作品は、子供を突き放すんですよね。

息子だけでも幸せになってほしいっていう親心でしょうか。


この作品の監督ヒシャム・ザマンは、ノルウェーとキルギスタンのハーフなんだそうです。

そして、この作品のキャストは、キルギスタンのカルチャーセンターで呼びかけて探した素人とのこと。

特に子役の男の子は、名演技だったので、素人だと聞いてびっくりしました。


日本って今のところ平和だし、平和ボケしているので、難民なんてあり得ないと思ってるかもしれないけど、世界中にこの親子のような難民がいるんですよね。

子供のそばにいて子供を抱き締めることが最高の親子愛だと思ってしまいがちですが、子供を突き放す(子供の将来を思って子供を手放す。)愛情というものに気づかされました。

あの息子は、自分を捨てた父親をしばらくは恨むかもしれませんが、いつか、自分を捨てたことが自分に対する父親の愛情なんだと気づくでしょう。


この映画に関しては、色々と感じることがあるのですが、うまく表現することができません。

とにかく、この映画のように、戦争や紛争などで親子が引き裂かれてしまうようなことがなくなればいいと願うばかりです。


Happyになれる映画を観よう♪-夏の夜は三たび微笑む


夏の夜は三たび微笑む [DVD]


★★★☆☆

SOMMARNATTENS LEENDE
SMILES OF A SUMMER NIGHT(109分)


監督: イングマール・ベルイマン
脚本: イングマール・ベルイマン
撮影: グンナール・フィッシェル
音楽: エリック・ノードグレーン

出演: グンナール・ビョルンストランド・・・フレデリック・エーゲルマン(弁護士)
ウーラ・ヤコブソン・・・ アン・エーゲルマン(フレデリックの妻)
エヴァ・ダールベック・・・デジレー・アルムフェルド(女優、フレデリックの愛人)
ヤール・キューレ・・・マルコム(伯爵)

マルギット・カールクヴィスト・・・シャロッテ(伯爵夫人)

ビョルン・ビェルフヴェンスタム・・・ヘンリック・エーゲルマン(フレデリックの息子)
ビビ・アンデショーン・・・女優
ハリエット・アンデルセン・・・ペートラ(エーゲルマン家のメイド)

オーケ・フリデル・・・フリッド(馬丁)
ビルギッタ・ヴァルベルイ・・・女優


◆ストーリー◆

フレデリック・エーゲルマン弁護士は2年前に妻を亡くし、ほどなく、16歳の新妻アンを迎えた。

しかし、エーゲルマンは、昼寝をしているときに、寝言で、愛人で女優のデジレの名を口にしてしまう。

アンは、デジレに嫉妬を覚えるが、それ以上に、夫と先妻の間の子、牧師志望のヘンリックが気になる。

デジレには、マルコム伯爵というパトロンがいた。

デジレは、マルコム伯爵を伯爵夫人のもとに返し、若い2人、ヘンリックとアンを結びつけて、自分は、エーゲルマンの正式な妻になろうと考えた。

デジレは、パーティーを開き、皆を集め作戦を決行する。



◆感想◆

ベルイマン監督の作品って、何となく難しそうなので、体調がいいときに気合入れて観よう…って思いつつ鑑賞。

しか~し、これは、割と明快な作品でした。ドタバタコメディですね。(ドタバタってのは、ちょっと言いすぎか?でも、ベッドが滑りこんでくるところなんて、まさにドタバタコメディって思ったんだけど。)

でも、登場人物の人間関係の描き方がいかにも西洋的。

弁護士のエーゲルマンは、16歳の後妻には、指一本触れず、愛人との関係を続け、その愛人にもパトロンがいて、そのパトロンには妻がいる。後妻は、夫の先妻との間の息子が気になる存在で、その息子は、セクシーなメイドに熱を上げていて…

ラストのほうのパーティーでは、その登場人物たちがみんな入り乱れて、ドタバタが始まるわけです。


非常に見やすい作品ではあったけれども、釘づけになるような作品ではなかったので、3つくらいの評価で。


ペギー・スーの結婚

★★★★☆
PEGGY SUE GOT MARRIED(103分)

監督: フランシス・フォード・コッポラ
製作: ポール・R・ガリアン
製作総指揮: バリー・M・オズボーン
脚本: ジェリー・レイクトリング
アーレン・サーナー
撮影: ジョーダン・クローネンウェス
音楽: ジョン・バリー

出演: キャスリーン・ターナー・・・ペギー・スー
ニコラス・ケイジ・・・チャーリー・ボデル(ペギー・スーの別居中の夫)
キャサリン・ヒックス・・・キャロル(ペギー・スーの同級生)
バリー・ミラー・・・リチャード・ノヴィク(ペギー・スーの同級生)
ジョーン・アレン・・・マディ(ペギー・スーの同級生)
ケヴィン・J・オコナー・・・マイケル・フィッツシモンズ(ペギー・スーの同級生)
ジム・キャリー・・・ウォルター (ペギー・スーの同級生)
リサ・ジェーン・パースキー・・・デロレス(ペギー・スーの同級生)
バーバラ・ハリス・・・エヴリン・ケルチャー(ペギー・スーの母)
ドン・マレー・・・ジャック・ケルチャー (ペギー・スーの父)
モーリン・オサリヴァン・・・エリザベス
レオン・エイムズ・・・バーニー
ヘレン・ハント・・・ベス・ボデル(ペギー・スーの娘)
ジョン・キャラダイン・・・レオ
ソフィア・コッポラ・・・ナンシー・ ケルチャー(ペギー・スーの妹)
サチ・パーカー・・・リサ
ルシンダ・ジェニー・・・ロザリー
ドン・スターク・・・ダグ

◆ストーリー◆

ペギー・スーは、外に女を作っている夫チャーリーと別居中。

そんな彼女の元にある日、高校の同窓会の知らせが届く。

同窓会に出席し、キングとクイーンを選ぶメイン・イベントでペギー・スーは、クイーンに選ばれるが、興奮のあまり倒れてしまう。

気が付くとペギーは、25年前の高校3年の時代にタイムスリップしていた。



◆感想◆

「ペギー・スーの結婚」っていうタイトルだから、ペギー・スー役のキャスリーン・ターナーのほうがメインで話が進んでいくわけですが、ニコラス・ケイジのインパクトが強くてガーン

ニコラス・ケイジは、女性関係にルーズな男(妻と別居中)の役で、決して個性的なキャラ設定ではないと思うんですが、何気にインパクトがあるのです。(そう思うのは、私だけ?)

ニコラス・ケイジもキャスリーン・ターナーも現代(1986年)と25年前の高校生を演じてるんですよね。

現代は、何歳くらいの設定なんだろう?

中学生か高校生の娘がいるから、若くても30代?

当時、22歳のニコラス・ケイジ、実年齢では、高校生役のほうが近いんで、高校生役のほうは、いいとして、老け役のほうがちょっと無理があるというか・・・

逆に、キャスリーン・ターナーは、現代の姿のまま25年前にタイムスリップしたということでしょうか?

どう見ても高校生には見えない・・・(当時32歳)

見た目はともあれ、大人の心のままタイムスリップしていて、自分が将来どうなったのか知ってるわけだから、今(1986年)に自分が置かれている状況にならないように、高校生活を過ごすわけです。

当然、チャーリーとも付き合わないようにするわけですが・・・

誰しも、あの時こうしておけば・・・って思うことはあると思います。

私も、高校生のときに、あ~しておけばよかったって思うことはありますが、そこを変えてしまうと、今の私じゃなくなるわけで・・・(今の私が大好き!というわけではないけど、とりあえず、何不自由なく、幸せな生活が送れているので。)

この映画が好きか嫌いかは別にして、30代以上の人にとっては、結構、感慨深い映画だと思います。


★★★★☆
Eiffeltornet(14分)


監督: Niklas Rådström
製作: Frida Asp,Malte Forsell
脚本: Niklas Rådström
撮影: Peter Mokrosinski
音楽: Fläskkvartetten


出演: Stellan Skarsgård(ステラン・スカルスガルド)・・・ヤーコブ
Pernilla August(ペルニラ・アウグスト)・・・レナ(ヤーコブの妻)
Michael Odhag・・・ラッセ
Anna Azcárate・・・カーリン


◆ストーリー◆

男は、昨夜奇妙な夢を見た。

1920年代のパリの風景。しかし、あるはずのエッフェル塔が存在しなかった。

夢の内容を妻に話すと、妻は有名なエッフェル塔を知らないという。

しかし、本当にエッフェル塔は存在しなかった!



◆感想◆

たまたま「洋画シネフィルイマジカ」で観た短編映画なんですが、意外に面白かった。


男が朝起きて、昨夜見た夢を妻に話すわけです。

「昨日、見た夢は、1920年のパリが舞台なんだけど、エッフェル塔がなかったんだよ。」てな感じでしょうか?

でも、それを聞いた妻は、エッフェル塔って何?見たことも聞いたこともないし~。っていう反応。

最初は、冗談かと思うんですが、どうやら真剣のようで、「何でエッフェル塔を知らんねん!(夫)」「そんなもん、見たことも聞いたこともない!!(妻)」って感じで、だんだん険悪なムードになってくるんですよね。

夫は、エッフェル塔の絵を書いてみせると、妻は、それは、ロンドンのキプリング塔じゃない?と言われ、それなら、事典の写真を見せようってことで、事典を引っ張り出してきて、エッフェル塔のページを開けるんだけど、エッフェル塔の写真や記述は消えていた。

遊びに来た友人に聞いても、エッフェル塔なんて知らないという。

結局、エッフェル塔は、ロンドンのキプリング塔だっていう結論に。


これって、大げさに言えば、目覚めたら世界の常識が変わっていたってことなんですが、夫婦のごく日常の朝の風景の中でエッフェル塔に関しての会話が繰り広げられていくのがシュール。

たとえば、霊やUFOを見たとかいう話なら、誰も信じてくれないっていうのはわかるけど、エッフェル塔っていう有名な塔がパリにあるっていうのを誰も信じてくれないっていうのが面白いし、現実にそんなことがあったら、色んな意味で怖いよガーン


ジェネオン エンタテインメント
ニューヨークの王様 コレクターズ・エディション
★★★★★

A KING IN NEW YORK(105分)


監督: チャールズ・チャップリン
製作: チャールズ・チャップリン
脚本: チャールズ・チャップリン
撮影: ジョルジュ・ペリナール
音楽: チャールズ・チャップリン

出演: チャールズ・チャップリン・・・シャドフ(王)
ドーン・アダムス・・・アン・ケイ(テレビアナウンサー)
マイケル・チャップリン・・・ルパード・マカビー(天才少年)
オリヴァー・ジョンストン・・・ジョミエ(大使)
マキシン・オードリー・・・エレイン(シャドフの妻)
ハリー・グリーン・・・弁護士
フィル・ブラウン・・・校長


◆ストーリー◆

ヨーロッパの小国エストロヴィアの王シャドフは、革命のため、国を追われ、アメリカ・ニューヨークに亡命する。

自由の国アメリカで様々な騒動に巻き込まれてしまう王様のニューヨーク滞在記。



◆感想◆

この作品は、チャップリンがアメリカを追放された後に作られた映画だということは有名。

ニューヨークが舞台の作品でありながら、ニューヨークの風景は、すべてセットだそうですね。


チャップリンは、もうすっかりおじいちゃんになっていて、ダボダボズボンにドタ靴にステッキという放浪紳士チャーリーの面影はまったくないんですが、アナウンサー(TVタレント?)のアンとシャドフがホテルのバスタブでふざけあうシーンで、シャドフがアンの足をいたずらぽく触りながら見せる笑顔が放浪紳士チャーリーそのまんまの笑顔で、なんかホッとした。

失敗作といわれることも多いこの作品ですが(ライムライトで引退すればよかったのにという声もありますが)、放浪紳士が国王になり、スラップスティックなコメディではなく、皮肉たっぷりのコメディになったけど、私は、これはこれで好き。

自分自身の体験を笑いに変えてしまうという、ユーモアのセンスはやっぱりさすがって感じですね。


朝日新聞社
黄金狂時代 コレクターズ・エディション
★★★★★

THE GOLD RUSH(72分)


監督: チャールズ・チャップリン
製作: チャールズ・チャップリン
脚本: チャールズ・チャップリン
撮影: ローランド・トザロー
音楽: チャールズ・チャップリン

出演: チャールズ・チャップリン・・・探鉱者
ジョージア・ヘイル・・・ジョージア(キャバレーの女)
マック・スウェイン・・・ジム・マッケイ(探鉱者)
トム・マーレイ・・・ブラック・ラーセン(指名手配犯)
ヘンリー・バーグマン・・・ハンク・カーティス
マルコム・ウェイト・・・ジャック・キャメロン
ベティ・モリシー・・・キャバレーの女


◆ストーリー◆

19世紀末、ゴールド・ラッシュのアラスカ。

一攫千金の夢を求めて雪山をゆく人々中に我らがチャーリーもいた。

猛吹雪に見舞われたチャーリーは、なんとか山小屋に辿りつくが、そこに極悪指名手配犯ラーセンに遭遇!

ラーセンはチャーリーを追い出そうとするが、結局追い出せず、何故かさらにもうひとり、金鉱堀りのビッグ・ジムまで同居することに・・・



◆ストーリー◆

これさぁ~、きっと死と隣り合わせの過酷な環境で、これ(ゴールドラッシュの時代のアラスカ)を題材にした悲劇の映画をいっくらでも撮れるんじゃないか?って思うような状況なんだけど、チャーリーにかかれば、すべてが喜劇。

お腹が空いて、革靴まで食べてしまう有名なシーンがありますが、それ以外にも空腹のシーンで、何度も笑いました。

たとえば、小屋のシーンだったと思いますが、かわいい犬が一瞬写るんですよね。

犬が小屋を出て行ったら、同居人が肉を持って小屋に入ってくる・・・もしかして、犬を叫び・・・って思ったら、犬は無事だったという(^^;

あと、同居人のジムがあまりにもお腹が空いて、チャーリーがチキンに見えて追いかけ回されるシーンとか。

その後、チャーリーは、街のキャバレーでジョージアという女性に恋をして、大晦日に会う約束をするのですが、案の定、すっぽかされてしまう。

そんな切ないシーンでも、チャーリーは、ロールパンにフォークを刺してダンスをし、笑いにしてしまう。(このシーンは、「妹の恋人」でジョニー・デップが真似してましたよね。)

あと、忘れてはならないのは、朝、目が覚めたら、チャーリーたちがいる小屋が崖っぷちまで滑ってて、危機一髪逃げ出すシーン。

空腹で幻覚を見たり、革靴まで食べてしまうというのは、結構ブラックな笑いだと思うんだけど、小屋が崖っぷちで落ちそうになるっていうのは、シュールですよね。


結末は、今まで庶民の味方というイメージがあったチャップリンにしては、少し意外かもしれません。

あくまでも私のイメージなんですけど、これまでのチャップリンだったら、金塊は見つからなかったけど、別の幸運が訪れ、ジョージアとの恋も成就して、ジョージアと幸せに暮らす・・・みたいな結末を予想していたんですが、露骨にチャップリンが金持ち紳士になってて、ちょっとビックリした。
気持ちいいほどのサクセスストーリーです。


ジェネオン エンタテインメント
独裁者 コレクターズ・エディション
★★★★★

THE GREAT DICTATOR(126分)


監督: チャールズ・チャップリン
製作: チャールズ・チャップリン
脚本: チャールズ・チャップリン
撮影: カール・ストラス、ロリー・トザロー
音楽: メレディス・ウィルソン

出演: チャールズ・チャップリン・・・アデノイド・ヒンケル(トメニア国総統)/ユダヤ人床屋
ジャック・オーキー・・・ナパロニ(バクテリア国の独裁者)
ポーレット・ゴダード・・・ハンナ
チェスター・コンクリン・・・床屋の客

レジナルド・ガーディナー・・・シュルツ長官

ヘンリー・ダニエル・・・ガーヴィッジ(ヒンケルの側近)

モーリス・モスコヴィッチ・・・ジャッケル(ゲットーの住人、家主)

エンマ・ダン・・・ジャッケル夫人

ビリー・ギルバート・・・へリング元帥

グレース・ヘイル・・・ナパロニ夫人

カーター・デ・ヘヴン・・・バクテリア国大使

バーナード・ゴーセイ・・・マン(ジャッケルの友人)

ポール・ウェイゲル・・・アガー(ジャッケルの友人)



◆ストーリー◆

第一次世界大戦末期の1918年。

一兵卒として出征したトメニア国のユダヤ人理髪師は、戦地で飛行機による事故で記憶を失い、病院に入院する。

しばらくして、理髪師は退院し、懐かしいユダヤ人街に戻ってくるが、記憶を失っていたため、世の中の変化を知らず、元の店で床屋を始めたが、突撃隊に店を破壊される。

トメニア国は、独裁者ヒンケルが政権を握り、アリアン民族による世界征服を夢見ていた。

民族の純血を守るためには、まず、トメニア国内にいるユダヤ人の絶滅を考えたヒンケルは、突撃隊を組織して、ユダヤ人狩りに乗り出す。



◆感想◆

今見ても十分面白い作品なんですが、今だから笑えるのであって、この作品を1940年に作った(というか公開した)というのはすごい。

今だったら、各国の元首をパロディにした映画はたくさんありますが、当時は、命がけだったんでしょうねぇ。

平和な時代に作った戦争映画と違って、まさに、その時代に行われている悪事や不条理を描いているわけだから。


見る前、チャップリンがユダヤ人の床屋と独裁者の二役で、床屋と独裁者がひょんなことから入れ替わって、ラストに演説をする・・・っていうのは知ってました。

でも、いつ入れ替わるんだろう・・・と思いながら見てたんですが、床屋と独裁者が入れ替わるのって(以下ネタばれです)・・・・・・・・・・最後の最後だったんですね。

なるほど、そうきたか!って感じの入れ替わり方でした。


ヒンケルが、地球儀をもて遊ぶシーンは有名ですが、それ以外にもププッと笑えるシーンが満載。

階段落ちるときのバナナとか、ハンガリー舞曲で剃刀ピカピカに磨くのとか、ヒンケルとナポロニの理髪室の椅子のギャグとか、デタラメドイツ語で熱くなり過ぎて咳き込み、ブタ鼻になるのとか・・・私は、お腹を抱えて笑っていまいましたよ。

ラストの6分を超える演説も有名ですが、当初は演説で終わる予定ではなかったそうですね。

兵士とユダヤ人を含めた民衆たちが手を取って踊るというシーンだったそうです。

チャップリンを記録したカラー映像で見たことがあります。(DVD持ってます。)

チャップリンにしては、重いラストシーンだと思いますし、賛否両論あると思いますが、あの演説は、いつも人を笑わせているチャップリンだからこそ、心に響くんだと思います。